高血圧ってどんな病気?

いま日本で成人の約2.4人にひとりが高血圧といわれています。

高血圧は血管に強い圧力がかかり過ぎている状態です。

 血圧とは血液が心臓から押し出されて血管を通るときに、血管の壁にかかる圧力のことです。血圧には収縮期血圧と拡張期血圧があります。

収縮期血圧は心臓が収縮して血液を押し出した時に血管の壁に与える圧力です。

拡張期血圧は心臓が拡張して血液を取り込んだ時に血管の壁にかかる圧力です。どちらかでも基準値を超えると高血圧と診断されます。

 高血圧のタイプには2種類あり当院で診ているのは「本態性高血圧」です。本態性高血圧は高血圧になりやすい遺伝的な要因に、食塩の過剰摂取、肥満、アルコール、運動不足などの悪い生活習慣等が加わって心臓や血管に負担をかけ、血圧が高くなるものです。

高血圧だとどうなるの?

 高血圧になると、血管に常に高い圧力がかかり、血管の壁が厚く硬くなりコレステロールも溜まりやすくなる動脈硬化になりやすいです。また動脈硬化があると血管は弾力を失い血圧はさらに高くなり悪循環に陥ります。その他にも高血圧によって、大血管の粥状硬化心臓肥大腎臓障害などがもたらされます。高血圧が関係する病気として、脳卒中心疾患腎不全血管疾患などがあります。心臓の血管が障害されると狭心症心筋梗塞にもなります。

血圧の測り方

血圧は時間帯によって常に変化します。

朝起きたら1時間以内に測ります。排尿後、朝食や服薬前

夜寝る前に入浴後1時間以上してから測ります。

 多くの高血圧の人について、降圧薬で治療したときと治療しなかったときを比べた臨床研究が多く行われています。中年者に多い上も下も高い高血圧の人たちについては、治療により脳卒中は40%近く減少し、心筋梗塞は約20%減少、さらに全死亡も13%減少しています。年齢や合併症にもよりますが、高血圧は140/90mmHg以上ですので、血圧を正常化するには目標値が140/90mmHg未満となります。(腎臓病や糖尿病の患者さんでは、より低い血圧が腎臓を守るために重要で、目標は130/80mmHg未満となります。)

当院では

 降圧薬治療は通常一つの薬剤で少量から開始し、血圧値や副作用に注意しながら徐々に増やしていきます。しかし、中等症以上の高血圧の場合は、最初から多めの量を用いたり、2種の降圧薬を併用したりすることもあります。

 薬は副作用が怖いという方もおられましょうが、降圧薬で治療した人たちは治療しなかった人たちより、脳卒中や心臓病、さらに全体の死亡率も少ないことがわかっています。薬を飲まない方がもっと怖いのです。高血圧の薬には重い副作用は少なく、副作用が出てもほとんどの場合は止めればよくなります。

 血圧の薬は一生飲み続けないといけないとお思いの方が多いはずです。しかし、生活習慣をしっかり守って血圧が低くなれば止めることも可能な場合があります。ただし、降圧薬は高血圧の原因を取る薬ではありませんから、原則として飲み続ける必要があります。まずは食塩制限、食事内容の見直しとコレステロール制限や飽和脂肪酸の制限、適正体重の維持、運動、アルコール制限、禁煙が基本となります。