脂質異常症(高脂血症)ってどんな病気?
厚生労働省調査によると、日本では成人の約2.5人にひとりが脂質異常症が疑われる人といわれています。
脂質異常症とは血液中の特定の脂質値が基準値より高い、低いなどの異常値である状態です。
血液の中には、コレステロールや中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸といった脂質と呼ばれる物質が含まれています。脂質は、三大栄養素のうち最も高いエネルギーになります。脂質には体の中でつくることができない必須脂肪酸が含まれており、体の細胞膜の成分やホルモンの材料などになっています。不足すると、発育の障害や、皮ふ炎の原因になったりします。さらに、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)の吸収にも役立っています。
通常、脂質は、肝臓で作られたり食事からとり込まれたりして、血液中に一定の量が保たれるように調節されています。
しかし、脂質異常症(高脂血症)は、体の中で脂質の流れがうまく調節できなくなったり、食事から体の中に入ってくる脂質の量が多くなりすぎたりして、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多くなりすぎている状態、または善玉コレステロールが少ない状態が続く病気です。
脂質異常症だとどうなるの?
全身の細胞に酸素や栄養素をを運ぶ、血液の通り道である血管。健康な方の血管は、本来、弾力があって血液がサラサラと流れていきます。しかし血液中の悪玉コレステロールが増えすぎると、血液がドロドロとなり血液の通り道が狭くなる動脈硬化が進行します。これを放置するとますます狭くなり、気づかないうちに病状を悪化させてしまう恐れがあります。
怖いのが脂質異常症は自覚症状がないので知らない間に悪化してしまう点です。血管内にできたコブ(アテローム)によって血管が狭まれると、血液の循環が妨げられ、血管が詰まると狭心症や心筋梗塞などの心臓病や脳出血、脳梗塞などの脳卒中を引き起こします。
対策はどうすればいいの?
まずは、早期発見・早期治療のために定期診断を受ける習慣をつけましょう。そして、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすためには、過食や運動不足によって起こる肥満、ストレス、過労、喫煙、睡眠不足など生活習慣全般を見直すことが大切です。
β-カロテン・ビタミンE・ビタミンCが多く含まれてる食事やポリフェノール、カテキン、ゴマリグナンなどは動脈硬化に効果的といわれています。また、腸の働きを良くする食物繊維を意識的に摂取することで、コレステロールの吸収を抑え排泄を促したり、食後の急激な血糖値の上昇を防ぎ、高血圧の原因となるナトリウムの排泄を促すなど脂質異常症の防止に効果的です。
治療について
脂質異常症(高脂血症)の治療は生活習慣の改善と薬物療法が基本となります。
生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化が進むのを防ぐことが目的です。
ですから動脈硬化を促進する他の原因である高血圧、耐糖能異常、肥満なども改善できるよう生活習慣を改善します。
改善の主な内容は、1.禁煙 2.食事内容の見直し 3.適正体重の維持 4.運動が基本となります。
なかでも特に重要なのが食事で、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。
食事以外にも改善すべき生活習慣として禁煙があげられます。
たばこは、動脈硬化だけでなく、肺がん、呼吸器疾患、などの病気をおこさないためにもやめるべきです。
次に運動量を増やすことです。 1日1回は外に出て、6000歩以上を目標にしましょう。
どうしても生活習慣で改善しない場合には、動脈硬化さらに心臓病や脳卒中へと進む危険性がどんどん高くなりますから、薬物療法も行うことになります。